(11/10/1土曜〜10/2日曜分)
『
Cruise Fukushima !!』に参加した。吉●さんが撮影したTVR車(のエンジンサウンド Griffith500HC、Chimaera400、TuscanS
-
YouTube.flv)動画。TuscanSは旅行の一週間前から失火がありエンジン六気筒の一部しんでます。発進時のエンスト多く、アイドリングも不調。YouTubeで、これが本来のSpeed6の音と勘違いさせてはまずいですね、三●さん。YouTube動画には、一般公開しない方が、誤解を受けなく無難でしょう、●田さん。
超混雑の外来診療で時間なく、一日12時間+α労働でも、書類書きで土日が使えず、10/15(土)に通勤用Mロードスターを泉まで定期点検に出したのが精一杯で、TuscanSは10/23(おっと11/22〜11/24福岡に学会出張中)はムリで、10/30にショップに持って行く予定です。ショップのローダーで持っていってもらった方が簡単なのですが、故障して動かなくなりローダーで運んだことはなく、なんだかローダーに載せるのは不吉でして、載せません。
(11/10/11火曜分)
夜は奥さんと一緒に
しんきんホールへ行って、【
白石市医師会学術講演会】兼【
市民公開講座】を聴講してきた。定員200名・入場無料・事前申し込み不要・市民のどなたでもご参加下さいとのことだ。司会は白石今野医院院長の今野英繁先生。講師は仙台市立病院精神科認知症疾患治療センター科長の高橋正彦先生で、演題は『
認知症なんてこわくない』=
講演要旨(CC:5医師-患者関係とコミュニケーション・14医療と福祉の連携)であった。白石市医師会/白石市/エーザイ株式会社・ファイザー株式会社(認知症治療薬を販売している製薬会社)が共催した。
講師の高橋正彦先生には、6月14日(火)の6月度【白石市医師会学術講演会】でも特別講演
『
認知症の新しい治療戦略』をたまわった。その時は医療関係者向けの講演で、少しアカデミックであったが、今回は市民の皆様に理解しやすいような講演内容となっていた。
(11/10/22土曜分)
午前は休診にして、【
JDDW 2011-Fukuoka】と 【
教育講演】の学会出張にて、86才の母と福岡へ出発。奥さんは
アンサンブルセンプリーチェ本堂コンサートで第二バイオリンを奏するため、仙台にとどまる。
午後は
福岡国際会議場でJDDWの参加登録(消化器病学会=23単位・消化器内視鏡学会=25単位)の受付を行う(15,000円)=
「
JDDW 2011参加証明書」
、
「
(財)日本消化器病学会専門医更新単位登録票 第53回大会(JDDW)[23単位]」
。
13:45から二列に並んで、翌日のランチョンセミナー38「内視鏡の歴史を振り返って」の入場整理券(無料)を自動発券機でゲットしてから、14:00から4F第8会場で「
第11回医療研修会(JDDW)-日本の医療力を高める」を聴講。
司会は日本消化器関連学会機構・理事長の跡見裕先生と日本消化器病学会・理事長の菅野健太郎先生が務めた。
1
医療イノベーションへ向けた
戦略的施策
(東京大医科学研究所)中村祐輔先生
2 わが国の医療力を高めるための
医学界からの提言
(国際医療福祉大・大学院長)金澤一郎先生
3 医療と
サービス科学
(科学技術振興機構・研究開発戦略センター)吉川弘之先生
4 世界の医療機器産業の動向とわが国の
医療機器の開発戦略-画像診断関連を中心として-
(東芝メディカルシステムズ株式会社・相談役)小松研一先生
5 日本の医療力を高める:わが国
製薬産業の成すこと
(エーザイ株式会社・代表執行役社長)内藤晴夫先生
と、滔々たる先生方の講演であった。このようなメンバーは、お金を積んでもなかなか一同に会せぬ先生方であるとの司会の先生の話であった。
「
JDDW2011医療研修会 参加証」
夜はビジネスホテルの
デュークスホテル中州のツイン部屋
610号室に、母とお泊まり。
母(86歳)の父の弟の娘(従妹)さん(80歳)が、ホテルに車を運転して会いに来てくださった。30年ぶり位の再会だそうだ。母は足が弱ってきたので、今回のように学会出張の私が連れてこなかったら、生きての再会はなかっただろう。人見知りする私は仕事が残っていることをよいことに、洋子さんに母をまかせて自室に。母は洋子さんに、福岡の旨い店に連れて行ってもらったようだ。
(11/10/23日曜分)
福岡で、朝9時から午後4時30分まで教育講演を聴講した。
教育講演は、
「消化器画像診断の進歩」
である。
(
教育講演抄録集)
教育講演
1 9:00-9:50
肝
演者 大垣市民病院・消化器内科
熊田 卓 先生
司会 千葉大大学院・腫瘍内科学
横須賀 收 先生
抄録
肝臓における最近の画像診断の進歩は著しい。中でも2008年2月から使用可能となったgadolinium-ethoxybenzyl-diethylenetriamine
pentaacetic acid (プリモピスト)造影MRI(EOB-MRI)は従来の肝細胞がん(HCC)診断における基本的な概念を急速に変えつつあることは周知の事実である。
本教育講演では、 HCCを含めた肝細胞性結節の画像診断で、本邦で盛んに研究されてきて世界をリードしている血流画像および最近出現してきた肝特異性画像(EOB-MRIperfluorocarbon
microbublle[ソナゾイド]造影超音波[CEUS])について述べる。
肝細胞性結節の質的診断には(1)動脈血流の評価、(2)門脈血流の評価、(3)肝細胞機能の評価、(4)Kupffer細胞の評価等が必要である。動脈血流の評価が重要な多血性肝細胞結節の代表的なものがHCCであり、鑑別すべき結節として限局性結節性過形成(FNH)、肝細胞腺腫、肝血管腫、結節ではないが動脈門脈シャント、偽結節などが知られている。
CTHA(CT during hepatic arteriography)が最も鋭敏で、dynamic MRI、CEUS血管相、MDCT
(mutidetector-row CT)がこれに次ぐ。多血性HCCの診断にはCTHA第2相(後期相:造影剤注入後)のコロナ状濃染およびCT、MRI、CEUSの門脈相もしくは平行相でのwashoutが特異的所見となる。HCCが多血性腫瘍に移行することは多段階発がんに伴う結節内血管新生と血行動態・血行支配の変化を意味しておりあく性度の高い所見と判断され重要である。
門脈血流の評価はCTAP (CT during hepatic portography)による。古典的HCCの診断には極めて感度が高く、末梢の門脈浸潤の診断にも有用であるが侵襲的であり繰り返しの検査は困難である。
結節の肝細胞機能の評価にはEOBが優れている。EOBは肝細胞の類洞側にあるトランスポーター(OATP1B3)を介して肝細胞に特異的に取り込まれ、dysplastic
nodule、早期HCC、高中分
化型HCCに至る過程でOATP1B3活性が低下・消失し信号低下を認める。画像における排出系トランスポーターの役割は低いと推定されている。乏血性肝細胞性結節の拾い上げには最も鋭敏で、今やEOB-MRIの肝細胞造影相が肝細胞相性結節の検出のための基本画像と考えられる。しかし5〜10%の多血性の高中分化型HCCで肝細胞造影相で信号低下の認められない結節もあり注意が必要である。また早期肝細胞がんで信号低下を認めない結節も報告されている。EOB-MRIで発見された之血性肝細胞性結節の経過(多血化、サイズの増大)は数多く報告され、大きな結節、サイズアップの認められる結節でのあく性転化率が多いとされている。一方、これらの結節を生検するとほとんどの結節でHCCであったという報告もある。
Kupffer細胞はHCCが脱分化する過程で減少あるいは消失する。Kupffer画像としてCEUS後血管相が用いられ、Kupffer細胞の減少に伴いエコー輝度は低下し悪性度の高い病変の検出に有用である。
最期に、これらの画像を駆使してHCCを早期に診断し治療することが予後の改善に繋がるという科学的な根拠はまだ得られてはいない。常に併存する肝疾患の予後とHCC治療時に非腫傷部の肝臓に与える影響を考慮して治療開始時期・治療法を決めることが重要である。
教育講演
2 9:50-10:40
胆・膵
演者 帝京大ちば総合医療センター・外科
安田 秀喜 先生
司会 埼玉医大・消化器内科・肝臓内科
名越 澄子 先生
抄録
近年, X線CT検査機器の発展はめざましく,特にMDCT(multidetector-rowcomputed tomography)は,体軸方向に複数のX線検出器列を配置しX線管球が1回転する間に複数の画像情報を得ることができるCT装置である。このMDCTは短時間に広い範囲で高分解能の画像処理が可能となったことから,消化器画像診断における中心的な役割を果たすようになってきた。ここでは,胆・膵領域におけるMDCTによる画像診断の現況について述べる。
胆・膵領域では,胆管膵管直接造影による病変の局在診断や進展度診断さらに血管造影による脈管浸潤診断に代わって,
MDCTのthin slice画像による診断が取りいれられるようになってきた。すなわち動脈相,門脈相を含んだ3phase
MDCTや胆管・膵管造影を組み合わせたMDCTとMPR(multiplanar reformation),MIP
(maximum intensity projection),MinIP (minimum intensity projection),VR
(volume rendering)などの画像処理により複雑な立体構造を捉える事が可能となり,1)
進行度診断(局在診断,進展度診断,リンパ節転移診断,遠隔転移診断),2) 局所解剖の把握,3)
術前シュミレーションが一度に行えるようになってきた。アーチファクトなどにより診断能が低下するため,MDCT撮影は胆道ドレナージや膵管ドレナージの前に行うことが重要である。MPRでは撮像後に任意の断面で画像を再構築することが可能であるために,脈管浸潤や他臓器浸潤の有無を判定するのに有用である。また,VRによる立体構築では胆管や動静脈門脈などの分枝形態の把握や相互の位置関係を上下左右あらゆる角度から観察可能であるため,術前シュミレーションにも有用である。DICや胆管・膵管チュープからの造影を併用したMDCTにより管腔内陰欠損の描出や仮想膵管・胆管内視鏡も可能である。胆石や膵石の局在診断や嚢胞性病変内の結節成分の描出にも有用である。いわゆる陰性造影剤であるCO2による胆道・膵管造影は空気塞栓の危険性が少なく安全に施行可能であるが,仮想内視鏡では病的所見かartifactかの判定が困難なことも多い。また粘液産生性の病変では検査前に十分な洗浄を行っておくことが臨床的に重要である。しかしながら,いまだに転移リンパ節診断能に関しては十分とは言えず,胆管がんの表層進展に関しては過小評価もしくは評価困難である事も多い。更に,硬化性胆管炎や腫癌形成性自己免疫性膵炎などの胆管がんや膵がんとの良あく性鑑別診断に関しても未だ良好な結果は得られていない。
教育講演
3 10:40-11:30
術前・術中ナビゲーション
演者 神戸大大学院・肝胆膵外科学
具 英成 先生
司会 福井大・1外科
山口 明夫 先生
抄録
医療用ナビゲーションは,対象臓器の位置,血管などの内部構造と診断・治療器具の定位を目的とした診療支援システムを指し,近年様々な領域で導入されている。特に臓器組織の定位が比較的容易な脳神経や整形外科領域では,既に手術用ナビゲーションユニットとして市販化され汎用されている。
消化器外科領域では,近年,胸・腹腔鏡手術の普及,手術支援ロボットや単孔式内視鏡手術といった次世代低侵襲手術の登によって,安全性に加えて確実性,精密性が要求されるようになり,手術ナビゲーションの必要性が高まっている。本講演では既に実用化されている諸種のナビゲーションシステムを紹介するとともに,今後の展開について述べる。
これまでに実用化された手術ナビゲーションでは,術前・術中の画像情報を下に構築するナビゲーションシステムが中心となっいる。その画像情報はCT,MRI
,PET,SPECT,超音波検査など対象臓器によって多岐にわたるが,多くは汎用性が高い医療用画像として国際標準規格であるDICOM画像が用いられている。
具体的に述べると,CTやMRIなどの画像情報をもとにまず多断面再構成(MPR: multi-planar reconstruction)や最大値投影(MIP:maximum intensity projection)などを用いた2D再構築像を作成する。さらに3D再構築としてvolum rendering,仮想内視鏡像(virtual endoscopic imaging)などを作成すれば術前シミュレーションや術中ナピゲーションに応用できる画像情報となる。
胃や大腸の消化管手術ナビゲーションにおいては, MDCTで得られた仮想内視鏡像を血管画像やPET-CT画像と融合させ,腫療とリンパ節の局在や浸潤範囲,動静脈などとの空間的位置関係を3D画像にてあらゆる角度から表示することが可能になっている。触覚に乏しい腹腔鏡子術や触覚のないロボット手術では,このような画像ナビゲーションが安全性の向上に特に有用である。さらに光学式や磁場式の3D計測装置を用いて臓器の位置情報を解析し,腹腔鏡画像に尿管像やセンチネルリンパ節などを重ね合わせる新技術も開発されており,リアルタイムな術中ナビゲーションが可能になっている。
肝臓外科領域においては, 3D-CTシミュレーションソフトの使用がすでに一般化しており,画像支援ナビゲーションとして先進医療として承認されている。このシステムは肝実質と脈管を3D構築し,門脈域と肝静脈還流域を総合した機能的肝容積を計算することが可能であり,肝がん患者のみならず肝移植ドナーにおける手術の安全性や精度の向上に寄与している。一方,2D超音波画像は主に術中ナビゲーションに利用されてきたが,最近では3D画像も構築可能となり,肝切離時の血管解剖の把握に応用が期待される。
胆道外科領域では,がんの水平・垂直方向の胆管進展が術式決定に重要である。最近は胆道造影下CTやMRCPの胆管像と門脈や肝動脈画像を融合した3D構築により,腫瘍の局在および脈管との関係が詳しく評価可能になっている。また,造影剤の代わりに二酸化炭素を注入する仮想胆道造影も試みられている。
最後に我々が取り組んでいる最先端手術ナビゲーションとして,3D臓器モデルを紹介する。これは画像デジタル情報をもとに3Dプリンターにて臓器を多色・多素材で立体造形する新技術である。術前,術中のシミュレーション&ナビゲーションに手軽に利用でき,教育用素材として大いに期待できる。
以上,消化器外科領域における手術ナビゲーションは,まだまだ発展途上であるが,今後,画像解析や位置情報などの技術革新によって精度や利便性が向上すれば有用性はますます高まると考える。
教育講演
4 14:00-14:50
上部消化管
演者 東京大附属病院・光学医療診療部
藤城 光弘 先生
司会 済生会川口総合病院
原澤 茂 先生
抄録
上部消化管における内視鏡診断は,通常白色光観察に引き続き,食道におけるルゴール染色法,胃におけるインジゴカルミンコントラスト法を中心に色素内視鏡を行い,それで分からないものは生検して診断するしかない,という時代が長らく続いた。しかし,近年における,拡大内視鏡観察法の上部消化管分野への応用と新たな画像強調観察法の出現により,極めて精度の高い術前診断が可能となっている。
特にその有用性が証明されているのが,光デジタル法に分類される狭帯域光法(Narrow
Band Imaging:NBI)である。NBIは,専用の光学フィルタを利用して,ヘモグロビンの吸収特性を持つ415nmと540nmの狭帯域光を照射することで,ヘモグロビンを含む血管では低信号となり,血管を強調することができる。咽頭・食道領域では,茶褐色領域(Brownish
area) の拾い上げとその内部に上皮乳頭内ループ状毛細血管(Intraepithelial
Papillary Capillary Loop:IPCL)の異型・増生を観察することで,腫瘍・非腫瘍の鑑別,腫瘍の深達度診断が高い精度で可能となっている。広い管腔臓器である胃においては,
NBIの光量不足により病変の拾い上げには限界があるものの,拡大内視鏡観察と併用することで,白色光や色素法により拾い上げられた病変の,腫瘍・非腫瘍の鑑別,腫瘍における範囲診断,組織型予測などが可能である。その際,粘膜微小血管もしくは粘膜表面微細構造の不整とその領域性を示す境界線の有無が,非常に重要な所見である。
デジタル・コントラスト法である, Flexible Spectral Imaging Color Enhancement
(FICE), i-scanのTone Enhancement (TE) は, NBIと対比して議論されることが多いがNBIとは全く異なる技術である。これらは,白色光で得られた画像情報をコンビューター処理により疑似カラー表示することで病変の拾い上げや質的診断を高める技術であり,前者はWeiner推定により得られる個々の波長における分光画像のうち,3波長画像を抜き出してモニター上のRGBに出力するものであり,後者はRGBに分解した3成分のトーンカーブを変更した後に再構成するものである。FICEについては,食道癌の拾い上げ,質的診断の有用性を示す報告,胃がんの範囲診断における有用性を示す報告がみられるが,i-scanに関しては,拡大内視鏡が未発売の段階であり,一部の施設でプロトタイプを用いた検討がなされているのみである。未だ,デジタル・コントラスト法はNBIに比べ十分なデータの蓄積が見られていないが,
NBIより明るい画像が得られることから,胃腫瘍の拾い上げ診断に有用である可能性が高く,今後の研究成果が期待される。さらにプロトタイプを用いた研究段階ではあるが,一部の施設では,細胞レベルの観察が可能な超拡大内視鏡も食道を中心に検討されており,日常診療で生検診断の代替として内視鏡的組織診断を行う時代がそう遠くない未来に到来するであろう。
教育講演
5 14:50-15:40
小腸
演者 日本医大・消化器内科
坂本 長逸 先生
司会 東京医歯大・消化器内科
渡辺 守 先生
抄録
代表的小腸疾患はクローン病であり,今日の分子標的薬の進歩によりクローン病の治療は大きく変化を遂げつつある。さらに,小腸の診断学と治療法に画期的変化をもたらし,クローン病の診断と治療にも影響を与えつつある領域が小腸の内視鏡を用いた診断と治療の進歩である。2007年から本邦の保険診療で利用可能となったカプセル内視鏡(CE)と本邦で開発されたダブルバルーン内視鏡(DBE)により,小腸疾患の診断と治療は飛躍的に進歩した。これら機器の登場により,診断や治療が困難であった原因不明消化管出血(obscure
gastrointestinal bleeding,OGIB)の診療が大きく進歩し,小腸腫瘍に対する内視鏡手術や,クローン病による小腸狭窄の内視鏡治療も行われる時代となった。今回の教育講演ではおもに後者の内視鏡を用いた小腸疾患診断と治療の進歩について紹介する。
OGIBは明らかに消化管出血があり貧血を認めるにもかかわらず上部消化管,下部消化管内視鏡検査によっても診断できない一連の消化管出血であり,全消化管出血の約5%に相当する。今日ではCE,DBE検査により様々な小腸疾患がOGIBの原因となることが明らかにされた。本邦の報告ではOGIB原因疾患として小腸潰瘍病変が最も多く,ついでangioectasiaなどの血管病変,さらに,悪性リンパ腫や消化管間葉性腫瘍(gastrointestinal
stromal tumor,GIST)が多い。OGIBを呈する患者を速やかにCEもしくはDBEで原因検索できた場合,診断率は90%を超えると報告されているが,出血後時間が経過したOGIBの診断率は50%前後とされている。潰瘍病変ではクローン病と非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)起因性小腸潰瘍が多く,
NSAID起因性小腸潰瘍は診断が特定できたOGIBの約10%前後とされている。その他の小腸潰瘍として単純潰瘍,腸結核,腸管ベーチェットがあるが,病理学的に非特異的炎症像を認めても診断を特定することができない小腸潰瘍も多数見いだされており,さらなる診断学の確立が望まれる。健常成人55名のNSAID2週間服用後のCEによる私たちの検討では,NSAID服用者は械毛欠損,びらん,潰瘍など少なくとも一つ以上の病変を有する割合が約60%前後にも上り,小腸潰療が約15%に発症する。NSAIDによって形成された械毛欠損は主に空腸に存在し,小腸びらんは全小腸で観察されるが,小腸潰瘍は回腸のみに観察された。
血管病変はangioectasiaなど,微小病変が多く出血で発症しCEやDBEで見いだされるが,出血後時間が経過すると内視鏡検査で発見が困難となる場合がある。欧米ではOGIBの原因疾患として小腸潰瘍よりも多いとする報告が多い。小腸腫瘍については,本邦のDBEを用いた多施設データによると,悪性リンパ腫が最も多く,ついでGIST,小腸がんが多い。欧米ではカルチノイドが多いとされているが,本邦では比較的少ない。
小腸内視鏡診断学はCE,DBEによって進歩したが,治療はDBEが必須である。また,腫瘍診断学もDBEによる組織生検が必須である。OGIBで発症し,血管病変,潰瘍病変,腫瘍と診断されたどんな病変であれ,出血している病変の止血はDBEによってなされる。今日ではDBE以外にシングルバルーン内視鏡も開発されておりこれらバルーン内視鏡なしに深部小腸の止血は困難である。
このように,本教育講演では小腸内視鏡診断と治療の到達点を概説する予定である。
教育講演
6 15:40-16:30
大腸
演者 広島大・内視鏡診療科
田中 信治 先生
司会 東北大大学院・生体調節外科学
佐々木 巖 先生
抄録
ファイバースコープ,通常電子内視鏡の時代を経て,大腸に拡大内視鏡観察が臨床導入されたのは,工藤らによるpit pattern診断学の確立や生体内での実際の診断に耐えうる拡大電子内視鏡の開発が大きな原動力であるが,今やこの拡大内視鏡は本邦のみならず世界的に広く普及しつつある。そして,EndosoctoscopyやEndomicroscopy(confocal)などの顕微内視鏡観察も生体内での臨床研究段階に入っている。本稿では,拡大内視鏡観察を中心に内視鏡画像診断学の進歩と今後の展望について述べるが,特に,最近脚光を浴びてきた画像強調内視鏡観察(IEE: Image-Enhanced Endoscopy) について, NBI (Narrow band imaging) を中心に解説する。
(1)大腸腫瘍のスクリーニング
NBIの大腸腫瘍のスクリーニングでの有用性については世界的に多くの相反する報告が存在しcontroversialな状況にあった。昨年末,本邦での多施設共同RCTの結果が公開されたが,白色光とNBI観察にスクリーニング上差はないという結論であった。
(2) 腫瘍・非腫瘍の鑑別
正常粘膜や過形成病変では表層部の微小血管は非常に細く疎なため,現在の波長設定のNBI観察では微小血管を認識することは通常困難であるが,腫瘍性病変では血管径が太くなり密度も増すので,その表層部に茶褐色に強調された微小血管を認識出来るようになる。このことに関しては,世界的なコンセンサスが得られている。
(3) 上皮性腫瘍性病変の質的診断
腺腫性病変のNBI拡大観察では,pit間の介在粘膜は表層部の微小血管が茶褐色に強調され網目状の血管模様(capillary
network)が認識されるが,血管のないpit様部分は白く抜けて観察される。これにNBIの構造強調観察能が加わることより,間接的なpit様構造の診断も可能となる。がんでは,がん細胞の浸潤増殖,炎症細胞浸潤や間質反応に伴う血管径の不均一性や血管走行の不整,分布の乱れ,前述のpit様構造や窩間粘膜の破壊などが出現してくる。この病態を理解すると,NBI観察を用いた微小血管の視認性の有無や,血管の太さ/分布の不均一性,
pit構造の有無や不整度を解析することで大腸病変における腫瘍/非腫瘍,腺腫/がんの鑑別が可能になる。
(4) NBI拡大観察によるSurface pattern評価の有用性
腺管構造を持たない咽喉頭・食道の扁平上皮領域では, Vascular patternのみの評価による診断学がすでに確立しているが,
Barrett食道・胃などの円柱上皮領域では,拡大観察によるVascular patternの評価に加えてSurface
patternの評価を加味することが重要であるが,大腸でも同様である。本邦ではこれまで,大腸表面微細模様に対して「pit様構造」,「white
zone」,「表面微細構造(MS pattern)」などさまざまな呼称があったが,昨年,「Surface
pattern」という呼称で統一された。このSurface patternは,真のpitと腺窩辺縁上皮を併せた構造で,大腸NBI拡大観察において非常に重要な所見である。
今後は,Surface patternを考慮したNBI拡大観察と色素を用いた従来のpit pattern診断の使い分けが重要な課題であり,本講演では,特にその点を中心にお話ししたい。
と、「消化器
画像診断の進歩」と謳っているように、参加により得られた知識は、明日からの当院の診療に、すぐにでも反映できる貴重なup
to dateの知識です。まだ、各学会誌に発表される前段階の、成書となるのは1・2年後にもなるという新発表が、この場で聴けました。
「
JDDW 2011教育講演 参加証」
、
「
(財)日本消化器病学会専門医更新単位登録票 JDDW教育講演[8単位]」
。
12:30〜13:40の
ランチョンセミナーでは、福岡サンバレスパレスルーム(第3会場)で、
オリンパスメディカルシステムズ株式会社スポンサードの「
内視鏡の歴史を振り返って」という渋めの演題を聴講しました。司会は福岡大・名誉教授の八尾恒良先生、演者は日本消化器内視鏡学会名誉理事長・最高顧問の
丹羽寛文先生で、「
何事もプライオリティーを大切にすべし」とのことを強調される講演でした。パワーポイントで豊富な歴史的実例を供覧されて、いくたの有名な発見・発明の前には真のプライオリティー者が存在することが、歴史を厳密に振り返ると確認されることが多いとのことで、科学界においてさえ無視されていることが多いとの批判をされていました。ぶっちゃけ、
オリンパスのNBI拡大内視鏡の技術開発で、オリンパスの
技術者は
国の賞を受けたそうですが、開発に携わり、開発に一番貢献した
医学者の方は賞を受けていないことには、何度も国に対するお叱りの言葉を繰り返されました。
NHKのプロジェクトXも、史実をネジまげた脚本意図・演出が殆どで、胃カメラの開発ドキュメンタリーでは事実誤認が甚だしく、NHKに消化器内視鏡学会として訂正の抗議を何度も申し入れたが、そのたび一蹴されたそうです。いろいろと各界の賢明な方から問題を指摘されていたプロジェクトXは、うやむやに放送企画が中止となりました。しかし、NHKアーカイブスには、当時の放映物が残っており、良心的な削除は行われていないようです。
オリンパスメディカルシステムズ株式会社提供の「
ランチョンセミナー弁当のお品書き」
夜は、明日の母と一緒の帰仙(余裕をとって、午前11時20分ぐらいの便を取ってある)に備えて、またデュークスホテル中州のツイン部屋610号室に二連泊目となる。